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通常の外交手段による解決
収務総長は国連の主要な六つの機関の一つだとはいえ、あくまでも総会ならびに理事会の決定の履行者であり、その決定の枠外に出ることは許されていない。もちろん、決定自身しばしばあいまいであるから、事務総長の解釈や選択はあるていど避けられない。また多くの場合、かれの具休的状況での判断を期待しながら、決議は時として意識的にあいまいに作成されるのが実情である。

「事務総長は事務長であるよりは将軍たれ」といったものに対して、リー総長は、事務総長が師団なき師団長であることを指摘したといわれる。事務総長の国際社会にもつ職務は、一国の宰相のそれに類似しているともいえるが、かれをいつでも支持する与党や利益団休にあたるものが総会の中に形成されているわけではない。

また一国の政府が、歴史や文化の共通性にもとづく特定の政治社会に根ざしているのに反し、事務総長があてにできるほどには国際社会は統一的な条件をそなえていない。与党や支持団体にあたるものが存在しないことは、政治的圧力の武器をもたない意味では事務総長の弱点になるが、その反而かれに大きな行動の自由、表現の自由があたえられる意味ではかえって利点ともいえる。かれの意見が党派的なものでなく、国連憲章にもとづくまったく個人的なものである点が、高く評価されることがよくある。

事務総長が現実から政治的に遊離したり孤立したりする危険は、主な加盟国の国連代表や外相とたえず接触を維持することによって避けられよう。スエズやっンゴの時のように、派兵国からなる諮問委員会を、かれの下に設立することも、接触を保つ一つの方法である。しかし、なんといっても事務総長を終局的に支えるものは、加盟国の一致した信任の念であり、かれがまったく私心なく公正に事に処していることへの信頼感である。かれの影響力、指導力はこの心理的基盤をおいて他にない。

国際的危機に際し、通常の外交手段による解決が見出されなかったとき、つまり伝統的な外交に空白が生じたとき、国連が新しい焦点として浮び上ってくると、そこにおける協議と交渉の中心として事務総長が発揮できる影響力はまことに大きい。しかし、かれの影響力は主として非公開の、いわば国際外交の私的回路を通じてなされる場合にもっとも大きい。逆に、その政策を公表することによって国家政策におよぼすことのできる圧力は限られている。



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