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可能性と問題点
事務総長が、国連憲章のなかで現実の運用において、もっとも創造的に機能した制度であることについて異論は少ないだろう・その成功の理由としてヽ第一に、いままでその職についた五人がいずれも傑出していて、すぐれた見識と決断力をもって行動したことがあげられよう。しかしそれにもまして大きな理由は、安保理事会や総会などの国連の他の機関が、最初に考えられていたように活動しなかったために、いろいろな仕事が事務総長に押しつけられることになったことである。

安保理事会で五大国がもっと協調していたならば、また総会において一〇〇を超える加盟国がもっと統率を保って行動していたならば、事務総長になんでもまかせる必要はなかっただろう。総会や理事会からの大幅な委任を受けた事務総長は、多くの場合与えられた仕事を見事になしとげたので、さらに多くの職務を引受けさせられることになった。「それはダグ(ハマショルド)にやってもらえばよい」スエズ戦争以後の国連加盟国のやや安易で逃避的でさえある態度は、このような合言葉に要約されていた。

また、事務総長がひきいる国連事務局を国連の執行機関として見るとき、その責任の拡大は国連全体の活動範囲がひろがってゆくことの必然的な帰結であるということができる。平和維持の面では、世界の各地に国連警察軍や国連監視団が派遣されている結果、その指導や管理などの日々の決定において敏速かつ的確な処理が望まれるが、これはどうしても事務総長にまかせられなければならないことになる。また経済社会面において、国連を通じる援助や技術指導、計肉の作成などの仕事が増加してゆく現在、実施面での具体的な責任は、どうしても事務局が負うことになる。

近代国家に見られる立法部門に対する行政部門の比重の増加という傾向は、国際機構においても同じように見られるのであり、優秀な国際官僚組織の上にたつ事務総長のイヤノアチブや決定は、きわめて重要なものになってくる。以上のように、事務総長の創意と政治的決断が客観的に要請されてくるにつれて、その権力の限界もまた認識されてくる。英断をもって知られたハマショルドにしてさえ、一九六〇年八月、コンゴ問題に関しルムンバ首和と意見が対立するにがって、安保理事会から再度かれの政策を支持する明確な意思表示を求めなければならなかった。
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