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米政府は有力金融機関をつぶさない
信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の損失が大きく、市場は「資本不足」との観測を強めていた。焦ったリーマンは十日、予定を約一週間早めて六-八月期決算の概要を発表(最終赤字が三十九億ドルに拡大)。同時に資産売却などの経営改善策を示したが、最大の関心事である資本増強策には踏み込まずじまい。株価は前日の四五%安に続いてこの日も七%下げた。だがこの時点ではまだ、「経営危機に陥っても最後は政府か同業他社が救済する」という期待が市場に漂っていた。
一方、公的救済はベアーと住宅公社二社で終わりにしたい、というのがポールソン長官の考えだった。ペアー救済後にFRBが証券会社向けの資金供給制度などを整備し、リーマンが破綻してもほかの金融機関が連鎖危機に陥ることはないと楽観していたからだ。十一月に大統領選を控え、公的資金を使ったウォール街救済には議会の反発が強いとの読みもあった。際限のない個別企業救済は経営者のモラルハザード(倫理の欠如)を招くという懸念もあった。いずれにしろ、当面は議会承認のいらないFRBの利下げや資金供給でしのぎたいというのが長官の本音だった。
十二日金曜日、午後六時。リーマン株が三ドル台半ばまで売り込まれたのを受け、FRB傘下のニューヨーク連邦準備銀行はウォール街に近い本部に金融大手のトップを召集する。参加したのはガイトナー総裁のほか、ポールソン長官、証券二位モルガンースタンレーのジョンーマック最高経営責任者(CEO)、同三位メリルリンチのジョンーセインCEOら。同連銀で官民が緊急会合を開くのは、ロシア通貨危機で経営難に陥った米ヘッジファンドのロングタームーキャピタルーマネジメント(LTCM)の救済策を話し合った。一九九八年以来、十年ぶりだ。
会議は週末を通して続いた。アジア市場が動き始める米東部時間十四日夜までに決着を付ける必要がある。だが、リーマンの分割買収など民間での問題解決を迫ったポールソン長官と、損失肩代わりなどの公的支援を救済買収の条件と考えていた大手銀の話し合いはすれ違った。有力な買い手候補だった米銀バンク・オブーアメリカは、土壇場で買収相手をメリルリンチに切り替えた。もう一つの候補だった英銀バークレイズも手を引いた。「ウィードントーハブーアーデイール(取引は不成立だ)」。ポールソン長官の一言でリーマンの命運は尽きた。日付が十五日に変わったころ、リーマンは米連邦破産法一一条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻した。マンハッタンの目抜き通りに面したリーマン本社からは、社員らが続々と自分の荷物を運び出していた。
代償は大きかった。「米政府は有力金融機関をつぶさない」との見込みが外れたアジアや欧米の市場は週明け十五日、大混乱に陥った。日本や韓国、中国は休場だったが、インドの株価指数は三・四%安。英国株は三・九%安、米ダウエ業株三十種平均も五〇四ドル(四・四%)下げた。ポールソン長官は同日の記者会見で「(リーマン救済に)税金を使うのが適当と考えたことは一度もない」と言い切った。長官の予想を裏切り、市場はショックを吸収できなかった。これで一気に窮地へ追い込まれたのが米保険最大手アメリカンーインターナショナルーグループ(AIG)だ。株価は十五日だけで六割下落し、五ドルを割り込んだ。格付け会社による相次ぐ格下げも追い打ちをかけた。
一方、公的救済はベアーと住宅公社二社で終わりにしたい、というのがポールソン長官の考えだった。ペアー救済後にFRBが証券会社向けの資金供給制度などを整備し、リーマンが破綻してもほかの金融機関が連鎖危機に陥ることはないと楽観していたからだ。十一月に大統領選を控え、公的資金を使ったウォール街救済には議会の反発が強いとの読みもあった。際限のない個別企業救済は経営者のモラルハザード(倫理の欠如)を招くという懸念もあった。いずれにしろ、当面は議会承認のいらないFRBの利下げや資金供給でしのぎたいというのが長官の本音だった。
十二日金曜日、午後六時。リーマン株が三ドル台半ばまで売り込まれたのを受け、FRB傘下のニューヨーク連邦準備銀行はウォール街に近い本部に金融大手のトップを召集する。参加したのはガイトナー総裁のほか、ポールソン長官、証券二位モルガンースタンレーのジョンーマック最高経営責任者(CEO)、同三位メリルリンチのジョンーセインCEOら。同連銀で官民が緊急会合を開くのは、ロシア通貨危機で経営難に陥った米ヘッジファンドのロングタームーキャピタルーマネジメント(LTCM)の救済策を話し合った。一九九八年以来、十年ぶりだ。
会議は週末を通して続いた。アジア市場が動き始める米東部時間十四日夜までに決着を付ける必要がある。だが、リーマンの分割買収など民間での問題解決を迫ったポールソン長官と、損失肩代わりなどの公的支援を救済買収の条件と考えていた大手銀の話し合いはすれ違った。有力な買い手候補だった米銀バンク・オブーアメリカは、土壇場で買収相手をメリルリンチに切り替えた。もう一つの候補だった英銀バークレイズも手を引いた。「ウィードントーハブーアーデイール(取引は不成立だ)」。ポールソン長官の一言でリーマンの命運は尽きた。日付が十五日に変わったころ、リーマンは米連邦破産法一一条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻した。マンハッタンの目抜き通りに面したリーマン本社からは、社員らが続々と自分の荷物を運び出していた。
代償は大きかった。「米政府は有力金融機関をつぶさない」との見込みが外れたアジアや欧米の市場は週明け十五日、大混乱に陥った。日本や韓国、中国は休場だったが、インドの株価指数は三・四%安。英国株は三・九%安、米ダウエ業株三十種平均も五〇四ドル(四・四%)下げた。ポールソン長官は同日の記者会見で「(リーマン救済に)税金を使うのが適当と考えたことは一度もない」と言い切った。長官の予想を裏切り、市場はショックを吸収できなかった。これで一気に窮地へ追い込まれたのが米保険最大手アメリカンーインターナショナルーグループ(AIG)だ。株価は十五日だけで六割下落し、五ドルを割り込んだ。格付け会社による相次ぐ格下げも追い打ちをかけた。
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