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戦略的人事とは
工場に行け、つていうことは、製造ラインの現場に行けってことなんですよ。つまり作業員の外国の方たちに混じってネジを回したりする仕事。確かに製品の勉強にはなるかもしれないけど、今までの仕事はなんだったんだろう。まったく評価されてないのかって思って、耐えられなかった。それなら転職して、今までの経験を活かしたいって思ったんです。辞表を出したときも、『あー、分かった』つて、あっさりとしたもんでした。上からも人を減らせ、人を切れって言われてたみたいです。だから上司は辞表を受理するつもりだったんじやないかな」突然の左遷である。須藤さんの身になにが起きたのだろうか。

2008年の夏頃、と言えば誰もが思い出すかもしれない。そう、リーマンーショックが起き九時期である。アメリカの投資銀行リーマンーブラザーズの破綻に端を発した世界的な金融危機が、日本経済を直撃した。トヨタが2010年卒の新人社員900名を工場の組立ラインに配置する、というニュースを覚えている方もいるだろう。コスト削減のために非正規雇用者を雇わずに新人社員を配置したものと言われているが、須藤さんの会社にも同じ発想があっだのかもしれない。ちょうどこの頃の、主要な電機機器メーカーの業績動向を見てみよう。どれも大きな純損失。

特にこれらの企業は海外での売上比率も高い。当時の数値でもシャープ、東芝は50%を超えているし、ソニーに至っては80%近くが海外市場での売上。これらのデータがあらわしているのは、2008年9月頃からのリーマンーショックと、金融不安にともなう急激な円高進行が、海外への輸出を主な収益源とする電機機器メーカーの決算に強い悪影響を与えたとい対ドル、対ユーロだけではなく、韓国ウォンに対しては2008年下半期だけで見ても38・8%の円高ウォン安が進行している。「海外にも輸出している」「韓国の代理店まで行って自社製品を紹介した」と語る須藤さんの会社は、このドル安やウォン安の影響をもろにかぶった。そのことが原因で人件費をまかない切れなくなり、半ば退職を迫る形で彼を工場に行かせようとしたのではないか。

確かに企業は社員を現職とまったく関係のない部署に異動させることもある。これは社内に新しい風を起こし活性化させる意味もあり、ジョブローテーション、あるいは戦略的人事と呼ばれる。しかし「君には技術的な知識がない」「文系なのになんてここにいるの?」など、以前から否定的なことを言われていた須藤さんが、恩ハ動をポジティブなものとして受け入れるのは難しかったのではないだろうか。たとえ自社の業績が予断を許さない状態だと理解していたとしても、唐突に「今までの経験をすべて捨ててネジを回しに行ってくれ」と言われてショックを受けない人はいないだろう。

「でもしばらくして、たまたま人事部に空きができたとかで、打診があったんですよ。『辞めるくらいならうちの部署にこないか』つて。もし将来転職することになっても、『ネジ回してました』つていうよりは『人事やってました』つて言うほうが格好が付くし、知り合いにも人事部の奴っていないので、スキルアップとしては面白いのかなと思って。結局辞めないことにしたんです」社の都合で振り回されることになったものの、結局須藤さんは残ることになり、2008年の秋から新たに人事部員としての仕事をスタートさせた。そして、この頃から須藤さんの社内失業生活が始まった。

須藤さんは書類整理をしているふり、エクセルの表でデータをまとめているふりなどをして、業務のない暇な時間をしのいでいるという。「業務量は、その気になってちゃんと仕事すれば、すぐに終わっちゃうぐらい。本当にわずかしかないんです。暇な時間は主に勉強時間にあててます。政治経済のニュースもよく見ますし、人事・労務関連のニュース、社の商品に関連する技術系のニュースを見たりだとか。残業はほとんどしていませんし、基本的には定時上がりですから、空いた時間に英語の勉強がしたいと思ってTOEICの勉強も始めました。去年の夏ぐらいから始めて、元々350点だったのが10月には530点、今年の3月に受けたときは650点まで上がりました。
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