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多様な労働時間制度
平成一九年三月に国会に提出された労働基準法改正案では、月八〇時間を超える時間外労働について割増率を五〇%に引き上げるとともに、その範囲の時間外労働についての追加分(二五%分)の割増賃金について、労使協定により、割増賃金に代えて有給の休暇を与えることができるなどの内容が盛り込まれていましたが、現在まで成立するには至っていません。労働基準法上は、時間外・休日割増賃金を支払う義務があるのは、労働基準法の最低基準を超える時間外労働や休日労働をさせた場合です。したがって、法律の範囲内の所定外労働や休日労働(週二日の休日のうち一方の休日に労働させた場合など)については、割増賃金の支払いは法律上は不要ですが(ただし、それにより週四〇時間を超えるかどうかなどには注意が必要です)、就業規則などにより割増賃金の支払いが定められていることも少なくありません。

割増賃金の計算は複雑になりますので、概要のみ紹介します。基本は、まず、通常の労働時間または労働日の賃金を計算して、それに割増率を掛け、時間外労働数や休日労働数をさらに掛けることです。通常の労働時間の賃金をどう計算するかは、労働基準法施行規則一九条に定められています(月給の場合は、月給額を月の〈平均〉所定労働時間で割って時間額を算出します)。なお、家族手当、通勤手当、住宅手当、賞与など臨時に支払われる賃金その他については、通常の労働時間の賃金等から除外して計算します。

労働時間の原則は、一週四〇時間および一日八時間ですので、ある週の労働が四〇時間を超えた場合、あるいは、ある日の労働が八時間を超えた場合は、他の週や日の労働時間がいかに短くとも、直ちに時間外労働が成立し、労働基準法違反を免れるためには、先にみた三六協定の締結などの手続をとらなければならず、割増賃金の支払いも必要になります。しかし、サービス経済化の進展などにより、より弾力的な労働時間の配分を円滑に進めることができる枠組みが必要となりました。そこで、一九八七年以来、従来から存在した変形労働時間制が拡充され、また、フレックスタイム制などの新たな労働時間制度が生まれました。

この変形労働時間制とフレックスタイム制の共通点は、労働時間規制を、一日や一週単位で行うのではなく、週あたりの平均労働時間によって行う点です。なお、それ以外に、裁量労働制という制度も導入されましたが、これは、労働時間の計算を、実労働時間ではなく、労使協定などで定めたみなし時間で行うものです。まず、変形労働時間制は、一定の期間(単位期間)における週あたりの平均労働時間が四〇時間を超えないこと、および所定労働時間を特定することを条件に、一週の労働時間の上限が四〇時間を超えたり、一日の労働時間の上限が八時間を超えたりすることを認める制度です。

この制度は、時期によって業務の繁忙に差がある場合などによく用いられます。たとえば、月初めと月末は忙しいものの、それ以外は比較的余裕のある事業で、月初めと月末に労働時間を多く配分し、それ以外については労働時間を少なくすることが考えられます。このような場合に変形労働時間制を利用すれば、月初めと月末に時間外労働が発生することを防ぐことができ、三六協定の締結や時間外割増賃金の支払いは不要となります。他方で、それ以外の労働時間を短縮し、総労働時間の増加を抑えることもできるのです。

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