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反帝国主義路線を完全に放棄することを期待するのは難しい
北朝鮮は、政治的・経済的・思想的な援軍であった社会主義体制の国々が崩壊し、続いて起きた自然災害と強引な発展の限界、そして権力継承のはざまでの国内外の危機によって、これ以上既存の党‐国家体制を維持することができなかったのである。一九九〇年代に襲った危機状況の中で、北朝鮮の国家目標は体制維持と経済発展であった。そうした国家目標を達成するため制度的に軍を前面に立て、行政・経済事業において党・政分離を図ったのである。キムーイルソン時代の、党の一方的な優位に基づく党‐国家体制は、キムージョンイル時代に入って、党が国内統合と体制の結束のシンボルとしての政治思想的陣地を、軍が体制保障のための軍事的陣地を、行政が経済発展のための経済的陣地を、それぞれほとんど排他的に担当するものとなった。いってみれば、相対的な党優位の下での党‐軍―政役割分担体制に変わったのである。現在は体制保障が経済発展よりさし迫った課題であるため、軍が政より高い位置にある。
では、キムージョンイル時代に構築された権力構造は、今後も持続するだろうか。北朝鮮の権力構造は、その時その時の危機のあり方と対応していると考えられる。キムージョンイル時代がスタートしてからI〇年が過ぎた。しかしこの間、北朝鮮の危機状況が変化し改善されたかと問われると、イエスとは答え難いのが実情だ。北朝鮮の核問題をめぐる米朝間の葛藤は相変わらず続いており、苦難の行軍が終わり実利を追求する七・一経済管理改善措置が断行されたけれど、経済難から脱却する兆しは見えていない。ただ、国内統合と体制結束の面だけは多少安定的といえよう。
こうして、この一〇年間で北朝鮮の耐久力の相当部分がそこなわれ、社会全体の軍事化を招いた「緊張体制」は来るところまで来てしまった状況だ。これは北朝鮮が直面した安保危機と経済危機が相反する関係にあるためである。北朝鮮は、この関係を「先軍の実利社会主義」で突破しようとしたが、先軍と実利が根本的に矛盾することから、先軍と実利が相互に縛りあって迷宮から脱することができないのだ。北朝鮮の権力構造の再編と政策変化のカナメとなるのは、核問題に対する前向きな態度と、その反対給付である経済改革のための友好的な環境にほかならない。多少楽観的な展望ではあるが、紆余曲折の中でも北朝鮮の核問題が平和的に解決されれば、北朝鮮は改革・開放を加速させるために内閣責任制を強化し、経済発展を推進するだろう。
だが、ここで問題となってくるのが先軍政治だ。最近、北朝鮮が先軍政治を先軍思想に格上げして社会全体の「先軍思想一色化」を図ろうとしているが、先軍政治を維持するための条件が「帝国主義が存在すること」だという点を考えてみるとこれは問題であるし、緊張体制を維持するための費用もあなどれない額にのぼる。すると、北朝鮮は核問題が解決された後でも先軍政治を維持するのだろうか。そして、北朝鮮が核問題の解決と引き換えに米国に体制を保障してもらったとして、それでも、「米帝国主義」という見方を放棄しないのだろうか。これまで北朝鮮の体制維持と国内統合のカナメは反帝国主義だったのだから、これに対する明確な答は出ようがない。
北朝鮮が反帝国主義路線を完全に放棄することを期待するのは難しい。反米・反日など具体的な対象を名指しした反帝国主義よりは、帝国主義を抽象化して一般的な意味で反帝国主義路線を掲げる可能性が高い。代わりに帝国主義の対抗概念である民族主義を、南北間交流・協力の発展レベルに合わせて強化していくと見られる。こうした兆しは、二〇〇四年の新年共同社説において、北朝鮮に限定していた「わが民族第一主義」を朝鮮半島全体に拡大したことでも確認できる。よって核問題が解決された場合、先軍政治は変化した形で持続されるだろうが、北朝鮮社会で占める比重が軽くなり、人民軍隊も北朝鮮社会を主導する「革命的な軍」から徐々に軍本来の任務に集中する「職業的な軍」へと性格転換を試みるだろう。
では、キムージョンイル時代に構築された権力構造は、今後も持続するだろうか。北朝鮮の権力構造は、その時その時の危機のあり方と対応していると考えられる。キムージョンイル時代がスタートしてからI〇年が過ぎた。しかしこの間、北朝鮮の危機状況が変化し改善されたかと問われると、イエスとは答え難いのが実情だ。北朝鮮の核問題をめぐる米朝間の葛藤は相変わらず続いており、苦難の行軍が終わり実利を追求する七・一経済管理改善措置が断行されたけれど、経済難から脱却する兆しは見えていない。ただ、国内統合と体制結束の面だけは多少安定的といえよう。
こうして、この一〇年間で北朝鮮の耐久力の相当部分がそこなわれ、社会全体の軍事化を招いた「緊張体制」は来るところまで来てしまった状況だ。これは北朝鮮が直面した安保危機と経済危機が相反する関係にあるためである。北朝鮮は、この関係を「先軍の実利社会主義」で突破しようとしたが、先軍と実利が根本的に矛盾することから、先軍と実利が相互に縛りあって迷宮から脱することができないのだ。北朝鮮の権力構造の再編と政策変化のカナメとなるのは、核問題に対する前向きな態度と、その反対給付である経済改革のための友好的な環境にほかならない。多少楽観的な展望ではあるが、紆余曲折の中でも北朝鮮の核問題が平和的に解決されれば、北朝鮮は改革・開放を加速させるために内閣責任制を強化し、経済発展を推進するだろう。
だが、ここで問題となってくるのが先軍政治だ。最近、北朝鮮が先軍政治を先軍思想に格上げして社会全体の「先軍思想一色化」を図ろうとしているが、先軍政治を維持するための条件が「帝国主義が存在すること」だという点を考えてみるとこれは問題であるし、緊張体制を維持するための費用もあなどれない額にのぼる。すると、北朝鮮は核問題が解決された後でも先軍政治を維持するのだろうか。そして、北朝鮮が核問題の解決と引き換えに米国に体制を保障してもらったとして、それでも、「米帝国主義」という見方を放棄しないのだろうか。これまで北朝鮮の体制維持と国内統合のカナメは反帝国主義だったのだから、これに対する明確な答は出ようがない。
北朝鮮が反帝国主義路線を完全に放棄することを期待するのは難しい。反米・反日など具体的な対象を名指しした反帝国主義よりは、帝国主義を抽象化して一般的な意味で反帝国主義路線を掲げる可能性が高い。代わりに帝国主義の対抗概念である民族主義を、南北間交流・協力の発展レベルに合わせて強化していくと見られる。こうした兆しは、二〇〇四年の新年共同社説において、北朝鮮に限定していた「わが民族第一主義」を朝鮮半島全体に拡大したことでも確認できる。よって核問題が解決された場合、先軍政治は変化した形で持続されるだろうが、北朝鮮社会で占める比重が軽くなり、人民軍隊も北朝鮮社会を主導する「革命的な軍」から徐々に軍本来の任務に集中する「職業的な軍」へと性格転換を試みるだろう。
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