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システム工学によるプロジェクトマネジメント
例えば、そのひとつにPERT(Program Evaluation Review Technique)と呼ばれる管理手法がある。PERTは、まずプロジェクト全体を細かい工程に分解し、それらを時系列で表現する。ある工程は、その前のいくつかの工程が終了しなければ始めることが出来ない、が、そのような制約条件も加味した巨大なチャートとして工程を表現することが出来る。そのチャートを解析することによって、ボトルネックがどこにあるか、工程を短縮するにはどうすればよいか、などを知ることが出来る。PERTで全工程を表現するためには、各工程で必要な資材、工数、所要時間などをあらかじめはっきり数字で表現しなければならない。これこそ「普遍化」に他ならない。ここにシステム工学のポイントがある。巨大プロジェクトとそれが生み出したシステム工学は、技術の普遍化を大きく進めるきっかけとなった。

PERTと並んでよく知られているのが、「コンフィギュレーション管理」という考え方である。これはシステムの設計仕様を初期段階で明示的に定義し、開発が進むにつれて体系的にその修正を行っていく方法である。最初に時間をかけてじっくり計画を練ってきちんと目標を設定することで、今風に表現すると「フロントロ七アイング」であり、「ウォータフォール」である。PERTもコンフィギュレーション管理も、普遍的で明示的な方法に基づいて個別の技術を統合しようとする考え方である。一方、学問的、技術的に優れた指導者は、それぞれの技術を身につけている人間に統合の基盤を求める。技術を担うのはあくまでも生身の人間であると考える。そうなると技術の統合は、人間のチームワークを通して実現する。

これに対しシステム工学によるプロジェクトマネジメントは、逆に技術から人間的な要素を取り去り、ドキュメンテーションとその処理の徹底した定量化と明示性に技術を統合するための契機と可能性を見出す。フォンーブラウンは、第二次世界大戦中のドイツのロケットミサイルVI、V2の開発責任者である。第二次世界大戦後アメリカに請われてミサイルの開発に従事し、その後新設された宇宙飛行センターの所長としてアメリカの宇宙開発で重要な役割を演じた。マーシャル宇宙飛行センターは、フォンーブラウンが連れてきたドイツ人たちが主要な位置を占め、彼のりIダーシップのもとで人間を基盤とするプロジェクトのマネジメントを行った。

フォンーブラウンは、技術力をそれぞれの研究者、技術者の経験を通して養われた個性的な能力と考え、ドキュメンテーションでは決して表現しつくすことは出来ないものと信じていた。したがって、システム工学に基づく管理体系と手法を押しつけてくる米航空宇宙局(NASA)のやり方には強く反発したようである。しかしシステム工学の重要性はよく理解しており、マーシャル宇宙飛行センターも後期に至ってはシステム工学的な管理が優勢となった。一方、アポロ計画でシステム工学的手法を推進したのが、計画室長のジョセフーシェアである。この管理手法は一時期NASAの支配的な文化となる。

システム工学の手法を用いてプロジェクトの進行を明示するシェアのやり方は、プロジェクトを外に向けてアピールするのに役立ち、航空宇宙関連の予算を獲得するのに大いに貢献したとのことであかOフォン・ブラウンとシェアは、「技術を担うのは人間か、システムか」について何度も激しい論争を繰り返したことはよく知られている。シェアは一九六七年にケネディ宇宙センターで発生した宇宙船の火災の責任をとって辞任し、後を継いだジョージーロウはシェアのシステム工学による管理を大きく緩め、人間関係を重視するマネジメントに切り替えた。これはロウの考え方からきたと言うよりは、アポロ計画が宇宙飛行や運用体制など人間的な要素を重視しなければならない段階に差しかかったからである。



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