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スウェーデンの温暖化対策
ローマ会議で、ノートハウス教授は最初から企画に参加していましたが、地球温暖化というのは大した問題ではなく、経済学者にとってはノンープロブレム問題として存在していないのだという発言すらしたのです。この、ノートハウス教授の発注を聞いて、一人のドイツの経済学者がたまりかねて立ち上がり、つぎのように言いました。「もしノンープロブレム」というのなら、なぜ、私たちをここに集めて、地球温暖化にかんする会議を開いたりするのだ」。そのドイツの経済学者はみごとな髭をたくわえた人でしたが、憤憲やる方ないという感じで、ノートハウス教授に語気鋭く詰め寄った光景が印象に残っています。私か提案した比例的炭素税の制度も、大気安定化国際基金の構想も、アカデミックな立場を貫く経済学者の間では賛同する人が多いのですが、政府レベルではなかなか同調を得られません。

スウェーデンは、世界でもっとも自然の美しい国の一つです。何万という美しい湖沼と、それを囲むゆたかな森林に恵まれたスウェーデンはまた、環境保護の面でも、世界でもっとも進んだ国です。スウェーデンの温暖化対策は、強制的手段によるのではなく、経済的な手段を用いたものです。その中心が炭素税です(スウェーデンでは、二酸化炭素税と呼ばれています。)スウェーデンは、一九九一年一月、炭素税の制度を導入しました。世界で最初でした。しかも、その税率は高く、広い範囲にわたって課税されたのです。

スウェーデンの炭素税は、一酸化炭素の排出に対して一トン当たり五〇クローナ(四〇〇〇円)、炭素含有量一トン当たり一五〇ドル二万五〇〇〇円)という高い率でした。当時、アメリカの経済学者か考えていた炭素税は、炭素含有量一トン当たり一〇ドル(一〇〇〇円)とか二〇ドル(二〇〇〇円)に比べて、スウェーデンの炭素税がいかに高いかわかると思います。スウェーデンは同時に、各種燃料に対しても炭素税を導入しました。たとえば、石炭一トン当たり六二〇クローナ(約一万円)、ガソリンですと一リットル当たり〇・五八クローナ(約九円)です。

スウェーデンにつづいて、オランダ、ノルウェーなどごく少数の国々で炭素税の導入が決められましたが、いずれの場合も、スウェーデンほど高率ではなく、またその範囲も限定されていました。炭素税の制度が、国際間の競争という観点からスウェーデンの産業に過重な負担をかけていることになり、一九九三年一月一日から、炭素税の制度に対して、多少の修正がなされました。新しい炭素税の制度は、二酸化炭素の排出に対して、産業用については、一トン当たり八〇クローナ(一二八〇円)に大幅に引き下げられましたが、逆に民生用では、一トン当たり三二〇クローナ(五一〇円)に引き上げられました。炭素含有量一トン当たりですと、産業用が四八ドル(四八〇〇円)、民生用が一八九ドル二万八九〇〇円となります。

各種燃料に対する炭素税も、産業用と民生用によって区別されることになりました。石炭一トンに対して、産業用では二〇〇クローナ(ハ○○円)に引き下げられ、逆に民生用では、八〇〇クローナ(四四〇〇円)に引き上げられました。ガソリンについては、産業用、民生用の区別なく一リットル当たり〇・七四クローナ(約一円)に引き上げられました。スウェーデンでは、炭素税のほかにも、硫黄税、エネルギー税の制度が環境問題の解決を目指して実施されています。
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